さて今 /tools ディレクトリはホストシステムに存在する lfs というユーザに所有権があります。 LFS システムを作り終えたら、恐らく /tools ディレクトリを削除したいかもしれませんが、たとえば後程また別の LFS システムを構築するために残しておいてもいいでしょう。 /tools ディレクトリをそのままに残しておくと、対応したアカウントの無いユーザー ID によって所有されたファイルとなってしまいます。 これは、後に作られたユーザーアカウントがこれと同じユーザー ID を得て、突然 /tools ディレクトリとそのなかにあるファイルを所有してしまうということによって、これらのファイルを悪意のある操作にさらしてしまうので危険です。
この問題を避けるために、後ほど /etc/passwd ファイルを作ったときに、新しい LFS システムにお使いのホストシステムにある同じユーザーとグループ ID を持つように気をつけて lfs ユーザを加えることができます。 あるいはまた、以下のコマンドを実行することで、/tools ディレクトリの内容を root ユーザが所有するよう変更することができます。(本書ではこちらを想定します。)
chown -R 0:0 /tools |
chown はパスワードファイルが作られるまで "root" という名前を解決できないので、このコマンドは "root:root" の代わりに "0:0" を使います。